TOPページ > ブログ(活動日誌) > 市販されているハッカの苗を育ててみました(2021年8月16日)

市販されているハッカの苗を育ててみました(8月16日)

インターネット通販で購入されたハッカの苗を分けて頂き育ててみました。
鉢植えも考えましたが、管理面と採油に必要な量の確保のため今回は地植えです。
購入された時の品種は「ニホンハッカ ◯◯◯」でした。
(品種名はふせさせてもらいます)
この品種は青茎系の古い作出品種で、大変香りの良いハッカです。

ハッカの苗

3月に植え付け約2ヶ月半、立派な青茎のハッカに成長してきました。
7月中旬、花が咲き始めたため、刈り取りを行います。
葉も本来ならもう少し丸く、葉脈ももっと浅いはず、様子がおかしくなってきています。
もともと、そう簡単に純系のものは手に入らないないと思っていましたから驚きはあり
ませんが、それでも残念です。
仮に純系品種ではないにしても、香りの良い精油が採れることを期待しつつ刈り取り。
刈り取りの際にはその植物の匂いが強くしてきます。が、その匂いも明らかに変です。

精油採り

精油採り2

乾燥した葉は計量した後水蒸気蒸留を行います。
乾燥重量を考えれば、意外と多くの精油を得ることができました。

さて、いよいよ分析です。
GCでの成分分析結果は以下の通りです。

分析データ

ベースラインが多少ずれていますが、打ち直しても結果は同じなのでそのまま掲載
しました。

全く残念な結果となりました。
見事なまでに l-メントールのピークがありません。メントンもプレゴンもその他
多くのあるべき成分のピークもありません。
リモネンだけが十二分にあります。

結論として、今回譲り受け栽培したもの、それは和種ハッカの姿をした「ただの草」
でした。

今まで多くの方からハッカと称して持ち込まれたものの分析結果をみてきました。
よくあることです。普通です。
ただ、今回はあまりに見事な成分の変貌ぶりのため紹介させて頂きました。

お伝えしたいことは、偽物だったとかではなく、和種ハッカの品種維持は非常に
デリケートで難しく、大切に管理していても、時に交雑してしまうということ。
数種類の和種ハッカを一緒に植えるといつの間にか違うハッカになってしまった、
などということは昔からよくある話しです。
もし、純系をお持ちの方がいらっしゃれば、こうならないよう大切に維持して
いただきたく思います。

Copyright©2018 JS-Stage Inc. All Rights Reserved.