TOPページ > ブログ(活動日誌) > 昔の保存サンプルの紹介(2021年8月2日)

昔の保存サンプルの紹介(2021年8月2日)

古いハッカのコレクション?(保存サンプル)の一部をご紹介します。

まだ、日本で薄荷が盛んに栽培され、北海道や当地の岡山県で新たな品種開発が
行われていた当時の薄荷取卸油(薄荷精油)や薄荷油、l-メントールの保存品です。
今となっては当時の香りや成分組成をそのまま保っているわけではありませんが、
先人たちの努力やその時代を振り返るには十分楽しめる歴史的な資料として保存
しています。

昔の保存サンプル

中央に『岡交6号 脳』と記載された l-メントールの結晶があります。
「脳」とは l-メントールの意味で、「岡交6号」は岡山県立農業試験場 倉敷はっか
分場で品種登録される前の「しゅうび」という品種のこと。

「しゅうび」は昭和45年に「はっか農林8号」として登録され、「しゅうび」と
名付けられますが、「岡交6号」は、それ以前、昭和42年に付けられた選抜段階
での系統名です。
本品は昭和44年2月の l-メントールですから、栽培はその前年の昭和43年。
「しゅうび」が世に出るのは昭和45年。
つまり、『岡交6号 脳』は、「しゅうび」の検討段階で、精油の品質を評価する
ために試作した大変レアな l-メントールです。

昔の保存サンプル2

右  : 昭和50年産「りょくび」(岡山県南部中央地域産)1番刈り
真ん中: 同 2番刈り
左  : 昭和41年産「りょくび」(岡山県南西部地域産)

「りょくび」も岡山県の開発品種。
昭和41年の登録ですから、左の油( l-メントール濃度が高いため固まっています)
は、登録初年度のもの。
岡山県での薄荷栽培は、昭和40年代後半には衰退してしまいます。
右の2本は昭和50年の1、2番刈りですから岡山県で農業として栽培されていた
ほぼ最終期の取卸油(精油)です。

昔の保存サンプル3

1960年代、70年代のブラジル産 l-メントールの保存品。
1960年代といえばブラジルで盛んに和種ハッカが栽培されていた頃のもの。
これは、今でもほとんど変質していません。香りも問題ありません。
※ 先程気になったので測定してみました。
  結果、l-メントール純度は 99.5% でした。

昔の保存サンプル4

左:昭和55年 北海道産「わせなみ」の脱脳油(≒精製前のハッカ油)
右:昭和56年 北海道産「北海19号」の脱脳油

「わせなみ」は、北海道農業試験場において昭和48年に品種登録された多収油品種。
「北海19号」(正しくは「北海J19号」)は、昭和57年に品種登録され、現在も
北海道で栽培されている「ほくと」の選抜試験の段階で検討されていた系統。
最終段階で「北海J20号」にあと一歩及ばなかった系統選抜個体のサンプルです。

他にも多くの珍しい保存品があるので、また少しづつご紹介できればと思います。

Copyright©2018 JS-Stage Inc. All Rights Reserved.